唯人からもらったこの指輪だけじゃない。


シャープペンも、トートバッグも、みんなからもらったものは、結局、何ひとつ身につけることも、使うこともできていない。


すべてダンボール箱の中に入れて、ずっと押入れの奥に仕舞ってある。そして仕舞ったまま一度も開けていない。


開けていないというより、開けたら心が壊れてしまいそうな気がしてできなかった。


これらすべてが私に贈られた最期のプレゼントなのだと思うと、見るのも触れるのも怖かった。


だけどその恐怖心が、自分の中から波が引くように消えていくのを感じた。


私は右手を静かに下ろし、プレゼントが山積みになった自分の机の方に向き直った。


「みんなのプレゼントも開けていい?」

「えっ、私たちのも?」

「うん。どうしても今、開けたくて」


みんなはちょっと驚いた顔をしたけど、すぐに首を縦に振った。


「いいよ。開けてみて」

「ありがとう」


私は震える手で、ひとつずつ包みを開けていった。包みを開けるたびに胸が強く締め付けられ、鼻の奥がつんと痛くなった。