「リリっ?!」
「ごめん、嬉しくて。ありがとう。本当にありがとう」
「あははっ、泣くほど喜んでくれるなんて、やっぱりプレゼントはこれにしてよかった」
「ねぇ、唯人。この指輪、私の指につけてくれない?」
「えっ?」
「お願い。唯人につけてほしいの」
「みんなの前だけど……」
「知ってる」
「ははっ、今日はめずらしく積極的だね。わかった。いいよ」
唯人は私が差し出した右手の薬指に、優しく指輪をはめてくれた。サイズはぴったりだった。
「唯人も右手出して」
私は唯人から指輪を受け取り、それを彼の長くて綺麗な指にはめた。さっきよりも大きな歓声と拍手が起こった。
「なんか結婚式みたいだな」
そうつぶやき、前歯で下唇を噛んでちょっと照れたように笑う唯人に、精一杯の微笑みを返した。
「うん、そうだね」
私は手のひらを天井にかざすようにして、右手の薬指を眺めた。
これが唯人からの最期のプレゼントなんだ。
そう思ったら、何か熱いものが胸の中を駆け抜けていった。