約束の1時より、少し早めに学校に着いた。
裏門の脇に自転車を止め、玄関に向かって歩いていくと、まぶしそうに空を見上げている信広さんの姿があった。
昨日の浴衣姿とは打って変わり、無地の白いTシャツにブルージーンズという、ラフな格好をしている。
それでも、煌びやかだった。
陽射しが彼の頭上に降り注いでいて、まるでそこだけスポットライトが当てられているみたいだった。モデルのようにすらっと長い足に、ジーンズが似合っている。
この人だったら、きっとどんな野暮ったい服でも完璧に着こなしてしまうような気がした。
空を見上げていた目がふと動き、こちらに向けられた。
信広さんは私の存在に気がつくと、軽く手を上げて微笑んだ。開いた唇の中から、並びのいい綺麗な歯が白く光っている。
私の唇も、自然と笑みの形になった。私たちは引き寄せられるように歩み寄った。