丁寧にお辞儀をした信広さんに、私も慌てて頭を下げる。
「はじめまして。いつも松下先生にお世話になっています、白石凛々子です」
「凛々子さん、昨日はクッキーありがとうございました。とても美味しかったです」
金色の光が降り注ぐ中、信広さんはまぶしそうに目を細めて言った。
切れ長の涼しげな目に、すっと細くて高い鼻。男性のものとは思えないような透き通った白い肌。
憂い顔とでもいうのか、顔に翳りが感じられ、どこか儚げな雰囲気がある。
なんでだろう。初対面の感じがまったくしない。むしろ昔から知っている相手のような親近感を覚えた。
松下先生にどことなく似ているからなのか、それとも彼の話を何度も聞いたからなのか……
「なんか不思議と、初めて会った感じがしません」
先にそう言ったのは、信広さんの方だった。