「待って! お願い、待って!」
私は叫んだ。叫んでいるのに、その声は無音と化して何も聞こえない。
ぐっ、と背中を強い引力のようなもので引っ張られた。
戻りたくない!
両手を前に伸ばし、必死に抵抗するものの、身体が白い光の中にどんどん吸い込まれていく。
・゜・☆。・゜。・。・゜・
「……——さん! どうしたの!」
誰かに後ろから腕を掴まれて、はっと振り返った。松下先生だった。
「先生……」
正常な思考が戻ってくるまでに、少し時間を要した。ぼんやりしている私に、
「やっぱり幻覚が見えるのね」
先生は言った。私は反射的に首を振って否定した。
「見えてません」
「じゃあどうして泣いてるの?」
「えっ……」
頬に手を当てると濡れていた。