「そうかもね。確かに私、お酒を飲むといつも涙もろくなっちゃうから」
その一言に、ふたたび笑いが起こった。私も笑った。涙を流しながら笑った。その笑いの最後を締めくくるようにして、智ちゃんがぱん、と手を鳴らした。
「さあ、みんな。昼休みが終わる前に、お昼ご飯食べちゃおう」
「はーい」
みんなは間延びした返事をして、自分の席へ戻っていった。
もしかしてと思い、私は自分の机の横にかかっている学生鞄を開けてみた。中には入れた記憶のないお弁当箱が入っていた。
ふたを開けてみると、中にはおむすびがふたつと、色とりどりのおかずが並んでいた。お母さんの手作り弁当だった。当時大好物だった卵焼きとタコさんウインナーも入っている。
この量を毎回ぺろりと平らげていた十二年前が、信じられなかった。
極端に食が細くなってしまった今の二食分……下手したら三食分の量だった。
お弁当の中身を眺めていると、唯人たちが集まってきた。