ズキッと胸に鋭い痛みが走った。私は傍らに立っている唯人を祈るような気持ちで見上げた。


「ねぇ、唯人は覚えてる?」

「うーん、昨日の昼休みかぁ……。ごめん、俺も覚えてないや。何か特別なことあったっけ?」


身体の中を、何か冷たいものが走り抜けた。


覚えていなかった。誰ひとり。


頭ではわかっていた。わかっていたはずなのに。


どうして、こんなに……


目の縁が熱くなり、視界がじわっと滲んだ。虚空に放り出されたような孤独感に襲われる。


「どうしたの、リリ?」

「ううん、なんでもない」

「えっ? なんでもないことはないでしょ」

「本当になんでもないの」


私は微笑みながら言った。頬が引きつってうまく笑えている自信はなかった。それでも必死に口角を持ち上げた。そうしていないと、いまにも泣き崩れてしまいそうだった。