ふと、自分が腕に大きな紙袋を抱えていることに気がついた。
中を覗いてみると、可愛い袋に包装された焼き菓子がいっぱい入っていた。
何だろう、これ……と考えていると、クラスのみんながにこにこしながら私の周りに集まってきた。
「凛々子ちゃん、今日はクッキー作ってきてくれたんでしょ?」
「朝からずっと楽しみにしてたんだよね」
「いつもありがとね」
あぁ、そうだ。そうだった。
中学の頃、よくお菓子を作ってはみんなに配ってた。きっとこれは“昨日の私”がみんなのために焼いたお菓子だ。
私は紙袋を抱えている両腕に力を込めた。
「ねぇ、みんな」
「何?」
「昨日のお昼休みのこと、覚えてる?」
「昨日の昼休み?」
みんなは首をかしげた。
「何かあったっけ……?」