「も、もう!ヒロが奏介くんのことを変な名前で登録してるからでしょ」
失礼がないように、うましかさんかもと考えていた自分が恥ずかしい。
ヒロはまだつぼに入ったままで、ずっと笑っている。
「ちょっと、笑いすぎじゃない?」
こっちは顔から火が出るほど赤面してるっていうのに。
「くく、悪い悪い。すげえ面白くて。久しぶりにこんなに笑ったわ」
人差し指で涙まで脱ぐっているヒロがちょっと可愛いって思っちゃったから許す。
「でも、じゃあ、前に一緒に歩いていた人は?」
偶然とはいえ盗み見したみたいで言いたくなかったけど、この際なんでも聞いたほうが恥ずかしい勘違いをしなくて済むと思って。
「私、学校帰りにヒロが女の人と並んで歩いてるの見ちゃったの」
「ああ、姉貴だよ」
「え、お姉さん?」
「女と歩くなんて姉貴ぐらいしかいねーし。なに、それで俺に彼女がいるって思ってたんだ」
「……はい」
奏介くんのことといい、お姉さんのことといい、色々と先走りすぎて本当に穴があったら入りたい気分。