ここはどこだろう。次に目を開けると、私の瞳には天井が映っていた。

……自分の部屋、ではない。

背中から感じるマットレスの硬さも枕の沈み具合もかけられている布団の重さも、全然知らないもの。


「あ、起きた?」


まだ頭がぼーっとしてる中で聞こえた声。目線をずらすと、そこには何故かヒロがいた。


「ヒ、ヒロ……なんでっ!?」

慌てて寝ていた身体をベッドから起こすと、ズキッとこめかみ辺りが痛くなって私は顔を歪める。

この脈を打っている感じの頭痛は熱中症で倒れた時に経験したものと同じだ。


「いきなり起き上がるなよ」

私は頭を擦りながらも、自分の状況を確認するように周りを見渡す。


そこには見知らぬ部屋が広がっていて、コンクリートが打ちっぱなしになっている壁に黒を基調とした家具。

オシャレな正方形のテーブルに、レトロなバイクのジグソーパズルが完成された状態で立て掛けられてある。

知らない部屋なのに、ヒロの香りが濃い空間は私を不安にはさせない。


「……ここって……」

「俺ん家」

「え、ヒロの家……!?」

大声を出したらまたピキリと頭痛が走る。