「近すぎて分からないことってあるでしょ?離れてみてお互いに反省するところとか、至らなかったところとか、そういうのをこれを機会に話し合うこともサユには必要なんじゃないかって思うのよ」
もうおばあちゃんの言葉に反論さえしたくない。
ここまで根本的に考えてることが違うなら、これ以上なにを言っても無駄だ。
やっぱりおばあちゃんも私の味方じゃなかった。
顔には出さなかったけれど、本当は一緒に暮らすことはイヤだったのかもしれないし、早く関係を修復してあの家に戻ればいいと心の中では思っていたのかもしれない。
2日後にあのふたりがここにくるなんて、私にとっては死刑宣告と同じだ。
……逃げなきゃ。あのふたりがいないところへ。
逃げなくちゃ。あのふたりの手の届かない場所に。
私は慌てて部屋を飛び出した。背後でおばあちゃんの声が聞こえたけど、もうなにも聞こえない。
誰も守ってくれないのなら、自分で自分を守るしかないじゃない。