「じゃあ、同じこと聞いていいよ」

あ、って思った。

もしかしたら上手く質問できない私のためにヒロはわざと聞きやすいようにしてくれたんじゃないかって。


ヒロのおかげで私は3つ知ることができた。

ひとつはヒロの好きな天気も暑くない晴れの日だということ。

血液型も同じA型だということ。


そして唯一、違ったことはヒロの誕生日は5月30日。

私の生まれた10日前にはすでにヒロはこの世界にいて、産声をあげていたんだと思ったら、無性に嬉しくなった。


「おーい!火ついたよ」

向こうで奏介くんが私たちを呼んでいて、暗闇でゆらゆらとろうそくの火が揺れている。


まずは手持ち花火からと、奏介くんが手渡してくれたのはすすきと呼ばれる細長い竹の棒のもの。

先端に巻き付けられている紙に火をつけると、まるですすきの穂のように「シュー」と花火が吹き出した。

同じ種類の花火にヒロも火をつけて、噴射する色が白から黄色へと変わっていく。


……花火なんて、久しぶりにやった。

この火薬の匂いも充満している煙も、なんだか夏がきたって感じで。季節を感じることはできているだけで感動してしまっている。