手に取ったのは冬服のジャージ。半袖の体操着ももちろんロッカーに入っているけど、こんな傷痕の肌なんて出せるわけがない。
……と、その時。
「もうお財布忘れるとかありえない。盗まれても知らないよー」と、廊下で声がして私は慌てる。
「ごめん。すぐに取ってくるから」と、返事が聞こえた頃にはすでにドアが開く寸前で、急いでジャージを着ようとしたけど、間に合わなかった。
「あ……」と、クラスメイトの女子と目が合い、ドクンと心臓が動揺する。
「どうしたの?」ともうひとりの女子も顔を出して、ふたりの視線は私の身体へ。
腕、お腹、背中と、瞳が移動して、力が抜けたように私の手からパサッとジャージが落ちる。
……み、見られた。
そう思ってもすでに遅くて、女子たちは明らかに〝引いている目〟をしていた。