次の日。朝目覚めると窓の向こうですでにセミが大合唱していた。

悪い夢を見た時にはその声すら鬱陶しいけれど、昨夜はコバルトブルーの海にプカプカと浮いている夢を見た。そのおかげで、とても気分がいい。


「おはよう。サユ。今日は朝ごはん食べられそう?」

朝起きのおばあちゃんはどうやらさやえんどうの白和えを作ったみたいで、ボウルごとテーブルに置かれていた。白和えの中にはとうもろこしも入っていて、食材はすべて庭で採れたものだ。


「うん。今日は大丈夫」

「そう。じゃあ、ご飯よそうね。お味噌汁と美味しい海苔もあるから」
 
そう言って、おばあちゃんは炊飯器を開ける。炊きたてのお米のいい匂い。


……こんな穏やかな朝がずっと続けばいいのに。そう思いながら私は用意された朝ご飯を見つめて「いただきます」と、手を合わせた。


おばあちゃんは昨日、私が学校をサボッたことを知らない。小、中学校とは違って義務教育じゃないし、担任もわざわざ電話をかけてきたりしないから。

休んだ罪悪感は、正直薄い。

だってあのまま学校に行っていたら、こんな朝は迎えられなかったと思う。