寝不足と夢のせいで気分は最悪だし、体調も優れない。
「サユ、食欲ないの?」
椅子に座ったけど、おばあちゃんが用意してくれた朝食にはまだ手をつけていない。
「野菜ジュースだけでいい」
「体力つけなきゃダメよ。食べないと頭も働かないでしょ?」
「平気。行ってきます」
コップに注がれた野菜ジュースを少しだけ飲んで私は家を出た。
おばあちゃんはきっと私が学校で孤立してるなんて思ってないし、悪夢にうなされて苦しんでいるなんて想像もしていない。
私がこっちの学校を受験したいと相談した時、おばあちゃんは二つ返事で受け入れてくれた。
だから感謝してるし、家に置かせてもらうことを許してくれなかったら、私は今でもあの家で暮らすことになってた。
それでも、夏なのにパーカーを着ていることや、笑わない私に対して深いところまで入り込んではこない。
きっと相談したところで、母に逆らうことができないおばあちゃんは、もちろんあの男になにかを言うこともできないことは分かってる。
だから、私は苦しさを自分の心に溜めるだけ。