それから学校が終わり、私は校舎を出た。
この開誠高校は自宅まで徒歩10分ほどの距離。バスを使えば途中にある坂道で苦戦することはないけど、なるべく公共の乗り物は避けたかった。
ああ、なんでこんなに日差しが強いんだろう。
休むことを知らない太陽を睨みつけながらも、私はパーカーを決して脱がない。
すると、コンビニの前で男子高校生が座り込んでいた。
制服は晴丘(はるおか)のもの。晴丘は男子校で、よくうちの学校でも話題にしてる人は多い。
『連絡先を聞かれた』とか『遊びに誘われた』とか大半がナンパ。きっと男子校で出逢いもなく、相当飢えているのだろう。
私はうつ向いていた顔をさらに下げて自然とはや歩きになった。なのに、発情期の猿たちはすぐに寄ってくる。
「ねえ、きみ開誠でしょ?ひとり?」
ドキッと、心臓が跳ねた。