「わあ、なんか感動しちゃいます……」
美幸さんいわく動いたのは足らしいけれど、お腹の中で元気に動いてるなんて本当にすごい。
「サユちゃんのことが好きなのかもね」
「だと嬉しいですけど」
美幸さんはお腹を優しい表情で撫でながら、ぽつりと呟いた。
「でも複雑だよね。新しい家族が増えようとしてるのに、ヒロがこんな状態なんてさ……」
美幸さんはもちろんヒロの前では絶対に悲しい顔は見せないけれど、病室を出たあとはいつも糸が切れたように泣きそうになることは知っている。
美幸さんやご両親を見ていると、ヒロがどれだけ大切に育てられてきたのか分かる。
そして暖かな人たちに囲まれて成長したからこそ、ヒロはあんなにも心の優しい人なんだと思う。
「ヒロ、美幸さんの赤ちゃんが男の子だって気づいてますよ」
「え?」