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私は今日も学校帰りに病院へと向かった。
ヒロの病室は三階の西側。とても日当たりがよくて夕方のこの時間だと窓からいつも綺麗な夕焼けが見える。
病室の前に着いてドアをノックしようとすると、わずかに隙間が開いていて中にはヒロのお父さんとお母さんがいた。
ふたりは毎日こうして往復二時間をかけてヒロに会いにくる。私はすでに挨拶は済ませたけれど、あんなに緊張したことはないってぐらい声が震えた。
ヒロの顔はお父さん似で、優しいおおらかな性格はお母さん似。私は話の邪魔にならないようにそっとドアから離れた。
最初は3人の話も途切れ途切れで美幸さんが間にいないとすぐに沈黙になってしまったけど、最近はそんな心配がいらないくらい普通に話している。
10年前にご両親が移植を望んだことは間違いじゃないし、女の子の代わりに苦しんだヒロの気持ちも間違いじゃない。
そういう今まで話せていなかった時間を取り戻すように、今はしっかりとした親子の形になってきている。