ヒロが待っていた相手が私だと気づいたクラスメイトたちは「え、なんで?成瀬さんの知り合い?」と、また声を合わせている。


そんな周りの空気にずいぶん前からヒロは我慢していたようで、「さっさと行くぞ」と私にヘルメットを投げた。

学校の前にはヒロのドラッグスター。


まさかヒロがいるとは思ってなかったからまだ状況がイマイチ飲み込めていない。


「バイトは?」

シフトはいつもどおり夕方の終了になっていたはず。


「昼休憩抜けてきた。ちょうど終わる頃かなって思って」

「え、なんで……」

すると、勘が悪い私にヒロがムッとした。



「なんでじゃねーよ。心配だから迎えにきたんだよ。悪いか?」

ちょっと子どもみたいに拗ねているヒロが可愛くて「悪くないです」と、私は全力で首を振る。


するとヒロは満足したように「じゃあ、大人しく乗って」と、バイクを指さして私は後ろに股がった。

ものすごくクラスメイトたちに注目されていたけれど、ヒロはお構い無しにバイクのエンジンをかけて、私たちはそのまま校門から離れた。