登校日は授業をするわけでもなく、担任の長々とした話と校舎を掃除して一時間半ぐらいで終わった。
「このあとカラオケ行こうよー!」なんて、みんなはすぐにぞろぞろと教室を出ていって、私も帰る準備をはじめた。
もっと憂鬱だと思ったのにそうでもなかった。
夏休み明けの学校も不安のひとつだったけれど、なんとか頑張れそうな気がする。
と、その時。ふと、窓の外を見ると校門に鮮やかな金髪の男の子が立っていた。
……え?
私は思わず身を乗り出す。
下校していく生徒は全員女子だから校門に男の子がいるだけで目立つというのに、あの身長と体格と綺麗な髪色はヒロしかいない。
私は急いでカバンを持って教室を飛び出した。
息を切らせて校門まで走ると、カラオケに行こうと言っていたクラスメイトたちが足を止めていて「誰?カッコいい」と、私の時とは明らかに違う声色でひそひそと話している。
ヒロは恥ずかしいというよりは、なかなか出てこない私に苛立ってるようにも見えた。
目が合って、私が名前を呼ぶ前に「おせえ」と、一言。