次の日。私は久しぶりに制服に腕を通した。

もちろん私自身に変化があったからといっても傷痕を晒すことはできないから、しっかりと上にはパーカーを羽織る。


早番のヒロは私よりも先に家を出た。

私よりもヒロが『大丈夫か?ひとりで行ける?』としきりに聞いてくるから、少し緊張していた気持ちなんて、どこかに飛んでしまった。


学校に着くとすでにクラスメイトたちが登校していて、肌が焼けていたり急遽黒染めスプレーをしてきたような隠せていない髪色をしていたり。

みんなそれぞれ夏休みを満喫してるんだって分かる。


「あ、成瀬さん来たじゃん」

自分の席に向かう途中に、ぼそっと聞こえてきた声。


なんだかこの居心地が悪い空気は久しぶりだな。

おそらく夏休み前に騒ぎになった私の身体のことは、みんなが記憶喪失にでもならない限りはずっと残ってしまうことだと思う。


でも不思議とジロジロと見られる視線に私は堂々としている。


――『お前はもう怯えなくていい』

ヒロの存在が、私を確実に強くしていた。