ヒロがいない場所でこそこそ聞きたくないけれど、奏介くんは私よりずっとヒロと付き合いが長いからなにか知ってるんじゃないかって。


「薬って?」

「かかりつけの病院があるとか、アレルギーとかも今は薬で抑えたりするじゃないですか。そういうのがヒロにもあるのかなって……」

こんな時にだけ滑らかに口が動く。


「さあ。アレルギー持ちなんて聞いたことないし、薬なんて飲んでるところは見たことないよ」


奏介くんの顔を見れば嘘をついていないことは分かった。


「急にどうしたの?」

「う、ううん。なんでもないです。すいません。変なこと聞いちゃって」


奏介くんも知らないこと。

なんだかそれがとても大きな秘密ごとに感じてしまって、私はぎゅっと手に力を入れた。