えっと、取り皿はたしかこの辺に……と、私は食器棚の三段目を確認する。背が低いから背伸びをして奥のお皿に手を伸ばすと……。
なにやら指にガサッとなにかが当たった。
ゆっくりと引っ張ると、それは【結城ヒロ】と書かれた内服薬の袋。
……ドクンとまた心臓がイヤな速さをする。
【1日2回 朝夕食後 一回服用量1個(錠) 4種類】とはっきりと記載されていて、薬剤師の印鑑のところには昨日の日付。
そういえばヒロは昨日、少しだけ帰ってくるのが遅かった。もしかして仕事のあと病院に行っていたから……?
そんなこともちろんヒロは言わないし、私はこれがなんの薬なのか知らないけど、ひとつだけ分かるのは……。
これがただのビタミン剤ではないということだけ。
なんてことない薬なら、わざわざ病院にもらいに行ったりなんてしないし、こうして隠すように食器棚に置いたりもしない。
私はゆっくりとヒロのほうを見た。
楽しそうに奏介くんと話していて普段どおりのヒロなのに、私の胸騒ぎだけが止まらなかった。