「あ、そういえばここに向かう途中でピザ頼んでおいたからもうすぐ届くかも」
奏介くんがテレビのチャンネルを回しながら言う。
「は?お前勝手に……」
「いいじゃん。俺のおごりだし、ヒロもお腹空いてるでしょ?今日の晩ごはんはみんなでピザパーティーしようよ!」
きっと晩ごはんは食べるだろうと思ってなにか準備する気でいたけれど、奏介くんの言葉どおりピンポーンとインターホンが鳴った。もちろんそれはピザの宅配の人で「はいはーい」と奏介くんが軽快に玄関へと向かう。
「やっぱり奏介くんがいると賑やかだね」
家の空気がパッと明るくなる。
「ただうるさいだけだろ」
口ではそう言ってるヒロも内心は嬉しそうだ。
ピザを受け取った奏介くんは早速テーブルの上に置いて、すでに部屋にはピザのいい匂いが漂っている。
「サユちゃん、お皿用意してー」
奏介くんの顔はご飯が待ちきれない犬のようだった。
「ちょっと待っててください」と私はキッチンの食器棚へ。
この家に来たばかりの頃はヒロのものなんて恐れ多くて触れなかったけれど、今はこうして遠慮することも少し減った気がする。