……どうしよう。

私はそっと家の中へと入って部屋でスマホとにらめっこをしていた。


あの時は恐怖心のほうが勝って、なにも考えられなかったけど、おそらくこのスマホの持ち主は〝ヒロ〟と呼ばれていた男の人だ。

なんだかとてもガラの悪そうな人だったし、一緒にいた人も不良って感じだった。


スマホなんて、見つけなきゃよかった。こんなことを今さら後悔しても遅いことは分かっている。

でも私がスマホを持ち帰ってきてしまったことで、向こうは私が盗んだと思ってるかもしれない。

なによりスマホにGPSがついていたら、家を特定されてしまうかもしれないし、ああだとこうだと文句を言われてお金を請求されたら……?

考えれば考えるほど、イヤなことしか浮かんでこない。


……と、その瞬間。

「♪♪♪」と、スマホの着信音が鳴り響く。それは私のではなく、拾ったスマホのほうから。