『それともまた俺に厳しくしつけてほしいってわけか?』
「……っ」
身体の震えが止まらない。
私を邪魔者扱いしてたくせに。私なんていらないと散々罵ったくせになんで私を追いかけてこようとするの?
きっと男にとって私に暴力を振るうことは快楽でしかなかったのだ。私はただ単純にストレス発散の道具。
でも、そんな道具でも心はあった。
だから苦しかった。悲しかった。死にたかった。
そんな気持ちなんて、この男には一生理解できるはずがないけど。
『とりあえず明日までには戻ってこい。じゃなかったら警察に捜索願を出すから』
「……え……」
『お前は未成年で俺は保護者なんだから当然だろ。素直に従って明日までに帰ってくれば痛くしたりしねーから、ちゃんと言うこと聞けよ』
プチッと一方的に切られてしまった電話。
まだ身体の震えは止まらずに、するりと手からすり抜けていくスマホが床へと落ちた。