それから数日が経って、今日もヒロは朝からバイトに行った。


ひとりきりの部屋で洗濯物を畳ながら、どうしても私はあの薬のことを考えてしまう。

結局ヒロには聞けてないし、今さら『これってなんの薬?』とあの時さらりと聞けばよかったなんて、後悔してる。

ただのビタミン剤ならいいんだけど、4種類あったことも気になるし、そもそもビタミン剤ならば私の前で普通に飲むはずだけど、ヒロが薬を服用してる姿なんて見たことがない。


やっぱりヒロのものじゃなかったのかな。

ヒロは具合が悪そうには見えないし、今日も顔色はよかった。でも私の前ではムリしてる可能性も……。


あー、ダメだ。

やっぱりひとりで考えていても分かるはずがない。


うなだれるようにソファーに寄りかかったところで、テーブルに置いていたスマホが鳴った。

画面を確認すると【着信 奏介くん】の文字。


『サユちゃーん!』

耳に当てると私よりも前に奏介くんの声が響く。


「どうしたんですか?」

『この前ヒロと美幸さんのところ行ったんでしょ?いいな、いいなー!』


奏介くんが子どものような言い方をしていた。

きっと用らしい用はないんだろうけど、たまにこうして仕事の休憩時間に電話してくることも最近は珍しくない。