やっとヒロの家の駐車場に着いて、私は安心したように胸を撫で下ろす。
「怖かった?」
「え……?」
「いや、すげー力強く俺のこと掴んでたから」
そう言いながらヒロはバイクから降りた。
「ご、ごめん」
たしかにけっこうな力加減で掴んでしまっていたかもしれない。ヒロは「まあ、べつにいいけど」と笑いながら、私をエスコートするようにバイクから下ろしてくれた。
1日ぶりに帰ってきたヒロの家。
もちろん久しぶりな感じはしないけれど、自然と心が落ち着くということは、この部屋の生活にも慣れてきた証かもしれない。
「昼めしどうする?」
時間はちょうど12時になろうとしていた。
「でもあんまり腹は減ってねーけど」と、ヒロがうなだれるようにソファーに寄りかかる。
たしかに今朝美幸さんが朝ごはんをがっつり作ってくれたから、私もまだお腹に隙間がない。
テレビもワイドショーしかやってないし、いつも忙しくしてるヒロがこんなにも暇をもて余してるのも珍しい。