国道の道を30分ほど走り、このままいけばヒロの家に着くというところで通行止めの看板が置かれていた。
どうやらこの先で道路工事をしているみたい。
仕方なくUターンしてヒロが選んだ道は偶然にもおばあちゃん家へと続く道。
見馴れた景色にドキリとしながらもヒロに事情なんて話せるわけもなく、バイクはそのまま進む。
あえて見ないようにしても、どうしても視界に入ってしまったおばあちゃんの家。
普段は使われていなかった車庫には黒いワンボックスカーが停められていて、余計に心臓が速くなる。
……あの男の車だ。
母と帰省していることは分かっていたけど、考えないようにしていたし、頭で顔を思い浮かべるだけで苦しくなるから。
私がヒロの腰をさらにぎゅっとしたところで、バイクは家の前を通りすぎた。