「もしかしてヒロの初恋の相手だったりします?」

小学校低学年でも、女の子と手なんて繋いでいたら周りにからかわれる年齢だし、写真のヒロはとても嬉しそうな顔をしてるから。


「うーん。どうかな。私には分からないけど、この頃のヒロにとっては大事な子だったことは確かだよ」

私はもう一度写真をよく見た。

たぶん、この女の子にとってもヒロは大事な存在だったんじゃないかな。身体を寄せあって同じピースサインをして、ヒロと一緒で女の子もすごく嬉しそうだから。


「あ、この写真のこともアルバムのこともヒロには内緒だよ?秘密ばっかり共有させちゃってごめんね」

「はは、大丈夫ですよ」


今日はなんだかヒロのことをたくさん知れた気がする。

本当はヒロ本人に聞いたほうがいいことも分かってるけど、私も言えてないことのほうが多いから……。


「ねえ、サユちゃん」

美幸さんが真剣な顔で私を見た。


「ヒロはああ見えてナイーブなところもあるし、やっぱり頑固だからぶつかることもあるかもしれないけど、ヒロのことよろしくね」


はい、と返事をしかけてやめた。軽々しく頷けなかったのは、美幸さんの言葉が私の想像よりもはるかに重い意味のような気がしたから。