何かひとつでも間違えたら儚く消えてしまいそうな気がして、不安を胸に立ち尽くす私に、ナギは苦笑した。


「心配かけてごめん。……ヒロはどうしてる?」


辺りに視線を走らせながら尋ねるナギ。

喧嘩していても気になるのは、やっぱり互いを大事に思っているからなんだろう。

そうであるなら、私も、大切な幼馴染の為に何かしたくて。


「そのことなんだけど……ちゃんと、ヒロと話し合ってほしくて」


遠慮がちにお願いしてみる。

すると、ナギは「話し合い?」と首を傾けた。


「聞いたの。ナギが事故に遭った時のこと」

「ああ……」


納得がいったのか、でも話し合うつもりはないと言いたげに視線を私から外す。


「とりあえず、次にナギに会ったら連絡しろってヒロに頼まれてるから、いいかな? 」

「ああ、いいぜ」


特に拒むでもなく頷いたナギの視線は太陽が隠れている曇り空へと向かった。

何を想っているのか。

空を仰ぐナギの横でヒロにメッセージを送信する。

返事はすぐにきて、確認した私は視線をナギに戻した。


「ヒロ、今から来るって」

「了解」


答えて、ナギの視線もまた私に戻ってくる。