ナギは、ちゃんと戻れたのだろうか。

容態は安定しているだろうか。

不安ばかりが押し寄せて、見るともなしに窓に流れる陽の落ちた景色に視線を置く。

どうして、うまくいかないんだろう。

人付き合いも、お母さんとのことも、ナギが目を覚まさないことも。

ナギのことに関しては私が動いてどうにかなるようなことじゃないけれど、それでも、彼の人生を思うと運命というものを恨みたくなる。

ううん、私のことはいい。

せめて、ナギだけでもうまくいって欲しい。

願って、祈って、バスを降りて。

ヒロと来た時の道順を思い出しながら廊下を進み、ナースステーションで受付を済ませると、逸る気持ちを抑え、そっとナギの病室の扉に手をかけた。

室内にはモニターの電信音だけが聞こえていて、それはナギに大きな異常がないことを告げている。

酸素マスクはつけられているものの、呼吸を繰り返し眠るナギを見て、私はようやく肩の力を抜いた。


「よかった……」


衰弱が激しいと聞いていたし、もしかしたら更に悪化して看護士さんや先生に囲まれていたらどうしようかと思っていたけれど、そこまで緊迫した状況ではなさそうだ。

でも、お医者さんが覚悟という言葉を伝えてきたなら、それなりに危険なはず。

けれど、今はちゃんと体と魂がひとつになっているから少しは安定しているのかもしれない。

そんな予測をして、ベッドの横に立ち彼の様子を見守る。