体を洗いシャワーで流し、ゆっくりとお湯に浸かって。
そっと瞳を閉じると自然と母の言葉を思い出し、胸がまた痛む。
いつもより感情が揺れているのは自分でもわかっている。
風船のように少しずつ膨らみ続けていた思いがついに爆発し、母に気持ちをぶちまけてしまったせいだ。
私の言葉はきっと、母を傷つけただろう。
もっと他に言い方があったはずなのに。
あんな意地の悪い言葉をぶつけてしまうなんて。
はぁ、と小さく溜め息を落とし、湯船の濁り湯を両手で掬い上げる。
湯は指や手の隙間から少しずつ流れ出て。
そうやって零れ行くのをぼんやりと見つめ体を温めていれば、お風呂に入る前に比べると僅かに心が凪いでいくのを感じ、私は静かに瞼を閉じて浴槽に背を預けた。
そして、数十分後──。
「暑い……」
つい長湯になってしまい、火照った体を冷ましながらひんやりとした廊下を歩いて部屋に戻る。
そうしてパタリと畳の上に横になって、ほのかな井草の香りを感じると同時に、座卓の上に放置していたスマホに手を伸ばした。