「そんなこと……」

来る前は凄く怖かった。

とても怖かった。

逃げ出してしまおうかと何度も思った。

「いいの。

いっちゃんもお姉ちゃんも何も悪くないんだよ?

悪いのは全部私。今回のことは全部自業自得なの。

勝手にないことにして、気づかないふりをして。

重要なことには触れようともしないで。

だからこれは私のせいなの!」

「由さん……」

だけど不思議だ。

いまは全然怖くない。

「式までにはちゃんと諦めるから。

諦めてみせるから。いまだけは許して?」

「うん」