何もかもがどストライクだった。 優男な見た目も。 押しの弱い雰囲気も。 気だるげな話し方も。 自分を通す価値観も。 そうなると私の成績はグングン上がった。 だって、頑張った分だけいっちゃんは褒めてくれた。 笑いかけてくれた。 頭をポンポンとしてくれた。 それに、お父さんもお母さんもいっちゃんを褒めた。 感謝した。 家庭教師の日じゃなくてもいっちゃんを夕飯に招くようになった。 私はいっちゃんに会うためだけに勉学に励んだ。