「かえちゃん。本当はね、私、気づいてたんだ。
いっちゃんの部屋にある食器も植物もお姉ちゃんの好みとぴったしハマるの。
面倒くさがりないっちゃんなのに、その植物は枯れないの。
ちゃんとお水を与えられてるの。
あり得ないの。
いくらお父さんの会社の後輩だとしても。
どれだけ内部が筒抜けだとしても。
お姉ちゃんしか知らないようなことを、いっちゃんは知ってたの。
でも、気づきたくなかった。
知りたくなかった。
信じたくなかった。
だから重い蓋をしてしまい込んでたの。
そうすれば。気づかなければ。認めなければ。
それは現実にはならないって、ずっとこのままでって思ってたの」