二人とも無言で。

白い息だけを吐きながら。

そんな中で、彼は何度目かも分からない、私の名を呼んだ。

「ちょっとだけ、いいかな?」

「何?」

いつも通りの声が出せた。

そんな私を褒めて欲しい。

だから……。

「もう一つ、由さんには言っておきたいことがあるんだ」