「帰ろうか」

言葉を発したのは私だった。

「うん、そうだよな。寒いもんな。

でも、腹は?減ってない?」

「空いてない」

私はにっこり笑って返したはずなのに、それを見たいっちゃんの顔は苦しそうに歪む。

「……」

でもさ、優しい言葉はかけられないよ。

苦しいのは私だもん。

いっちゃんは幸せなはずでしょ?