だけど、悲しいかな。

私の目はいっちゃんを捉えて離さない。

私の耳は大好きな声を聞こうと耳を澄ませる。

「結婚するんだ」

ああ……。

「この間。

この冬が明けたら簡単な式をしようって決めたんだ」

とうとう幕が開く。

「俺も。千沙も。

由さんにも式に参加して欲しいって思ってる」

絶望に包まれた、終わりの世界が……。