だけど私は未だにお姉ちゃんの言うあの人を見たことがない。

連れてくることはおろか写真を見せてもらったこともない。

「イブにデートより優先する用事って怪しー。

ねえ、お姉ちゃんの彼氏ってどんな人なの?」

「ええー?恥ずかしいからまだ秘密」

顔を赤らめて、恋する乙女みたいなはにかみ方をするもんだから。

本当に幸せなんだなって伝わってくる。

「あーあ。いいなぁ」

「由だってこれからデートなんでしょ?」

「そうだ!行かなきゃ!」