「俺さ」

私の追い立てにそいつは急に顔を引き締めて。

キリリとこちらを見つめている。

「おまえ。神崎のこと好きだ」

チリリン。

遠くで自転車のベルの音がした。

「なんで?」

「なんで?え?理由?」

だって。

あれ?

私こいつに好かれるようなことしたっけか?