深い紺の重圧な表紙。 それを丁寧に開くと少しカビ臭かった。 この子は何年も押入れの中に閉じ込められていたのだろう。 その匂いは言わばこの子の心の叫びだ。 『僕を見て』 『こんな暗くて狭いところに閉じ込めないで』 『あの時の気持ちを思い出してよ』 大丈夫。 私が見てあげる。 もうあんな暗いところになんて閉じ込めさせない。