そして次に向かったのはとんがり屋根の白い建物。廃校になっていた小学校の跡地を利用していて、ここは風景写真家のフォトギャラリーになってる。

誰でも無料で入ることができるし、天気が悪い日でも天候関係なく見ることができるため、青い池同様に観光客が訪れる場所でもある。

館内はフローリングの床になっていて、あちらこちらに写真が展示されてた。


それは春夏秋冬、朝焼けや夕暮れを切り取った美瑛の風景。

自然豊かなこの町は本当に美しくて、いい思い出なんてなにひとつなかったけれど、ここで育ったことも誇りに思ってしまうぐらい。


「小枝は季節の中で一番どれが好き?」
「うーん……」

そんなことを聞かれると思ってなかった私は口ごもってしまった。暑いのは嫌いだし寒いのだって本当は嫌い。でも私の記憶にある美瑛の町といえば……。


「俺は冬かな。苦しい思い出もあるけど、凍てつくような寒さとか匂いとか、そういうのが色濃く焼き付いてるのが冬だと思う」

うん。私もそうかもしれない。

美瑛は季節ごとに様々な顔を見せる。だけどこの切り取られた世界のように美しい雪景色だけは、どこへ行っても真似できないものだ。