「俚斗はなに飲んでるの?」
「ああ、美瑛サイダーだよ」
「そんなものあるの?」
「うん。青い池をイメージしてるんだって」
どうりで見たことがあるはずだ。だって透き通るようなコバルトブルーの色は池の色そのもので、ずっと見ていられるぐらい綺麗。
「飲む?」
「ええ?」
思わず過敏に反応してしまった。
べつに飲みたくて見ていたわけじゃないんだけど俚斗が「ん」と差し出してきたから私は受け取ってしまった。
瓶はひんやりと冷たくて、俚斗によって冷えたのか、元から冷えていたのかは分からないけど、とりあえずこれは間接キスということになるんだろうか。
あまり躊躇っても不自然だと思って、私は勢いよく美瑛サイダーを飲んだ。ゴクンと喉に流すと微炭酸で爽やかなレモン味。
「美味しいでしょ?」
たしかに美味しいけど、べつのことが気になってそれどころじゃなかったなんて、俚斗には絶対に言わない。