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そして次の日。私は朝から落ち着かなかった。
いつものように雪かきを手伝ったけれど、なんだかザクザクと雪をかくだけで心ここにあらずという感じ。
持ってきた荷物から何着か服を出して、それとにらめっこしてみたけれど、結局私はいつもどおり寒くなくて尚且つ動きやすい洋服を選んだ。
「小枝!」
美瑛駅に着くと、そこには私に向かって手を振る俚斗の姿。ここで転んだら恥ずかしいなと思いつつも私は自然と小走りになっていた。
「寒くない?大丈夫?」
俚斗が目を細めてニコリ笑う。
「俚斗こそ体調は平気なの?」
「うん。なんだかすごい元気だよ。そのせいで昨日は眠れなかった」
じゃあ、私と同じだ、なんて可愛いことを言えるはずもなくて、「ふーん」と素っ気ないふりをしてしまった。
なんだかこうして俚斗と青い池以外の場所で会っていると変な感じがする。
俚斗はずっとご機嫌でとりあえず私たちは駅から離れて歩くことにした。
雪道にはふたつの足跡。俚斗の足跡が大きいから、隣を歩く私がまるで子どものように見える。