「……ううん、べつに」
「それとも退屈?飽きちゃうよね。毎日同じところばかりじゃ」
退屈なんて思っていたわけじゃないのに俚斗「うーん」と考えて、そのあと閃いたように表情を明るくした。
「じゃあさ、今日は滝でも見にいく?」
「……滝?」
「うん。白(しら)ひげの滝」
白ひげの滝とは美瑛の十勝岳側に位置する白金温泉にある滝のこと。
これも青い池と同じように観光スポットになっていて、ここから道北バスに乗ればあっという間に着いてしまう場所。
私たちはまた【白金温泉行き】のバスに乗車して、すぐに目的地に到着した。白ひげの滝までは徒歩で5分。
ちょろちょろと流れる川を横目に行くと白ひげの滝が見える橋が見えてきた。
認知度でいえば青い池のほうが有名だからかこっちには観光客の姿が数えるほどしかいない。
「すいてていいね」なんて俚斗が笑いながら、私たちは滝がよく見える場所で足を止めた。
……水の音がすごい。
周りには雪で覆われた山があって、その崖の途中の岩盤の割れ目から十勝岳の地下水が湧き出して滝になっている。
「下を流れる美瑛川は別名ブルーリバーって言われてるんだよ。ほら、あそこ、青くなってるでしょ?」
俚斗が指さしたのは水が流れ落ちる滝つぼの部分。真っ白なひげのような滝は30メートル下の美瑛川に落下して、水がコバルトブルーのような色になっている。
「滝は透明なのに不思議……」
「神秘的だよね。この滝と青い池は繋がってるらしいよ」
俚斗は本当に物知りだ。
でも知識を自慢気に披露するわけでもなく、やわらかい口調で教えてくれるから、もっと色々なことが知りたくなる。