たしかに俚斗は嘘をつかなそうな瞳をしている。

私は他の人からどう見えているだろうか。やっぱり平気で嘘を並べそうな人に思われているだろうか。


そんなことを思いながら、観光客の人たちが近くでぱしゃぱしゃと池の写メを撮っていて、そういえばまだ私も写真を撮っていなかったことに気づいてスマホを出した。


……カシャッ……。

周りの風景も入るように撮ってみたけど、なんだかぼやっとしている。


「写真だと青いの分からないね」

気づくと俚斗の顔が真横にあった。


「か、勝手に覗かないでよ」

慌てて後退りすると後ろにいた人にぶつかってしまい、その反動で手に持っていたスマホを落としてしまった。


しかも最悪なことに手すりの向こう側に落ちて、私のスマホは傾斜になっている地面の上。

ゴツゴツした石があったから滑り落ちずに止まったけど、危うく凍った池に落としてしまうところだった。


私は腰を低くして手すりの間から手を伸ばす。でもギリギリのところで指先は届かない。

もうちょっと……と、顔を歪めていると隣から大きな手が伸びてきて私がこんなに苦労してるのにあっさりとスマホを拾われてしまった。


「はい」

俚斗がそう言って私のスマホを差し出す。