私は頭を撫でるように雪だるまに触れる。

ひんやりと冷たい感触は久しぶりで、指先を当てただけで、その場所からどんどん溶けていってしまった。今まで残ってたのが不思議なくらい。

そんな中で、俚斗が作った雪だるまがキラリと光る。


「……?」

溶けていく雪の中になにかを発見して、私はそれをそっと引き抜いた。


手のひらに乗っているのは、花の形をした髪留めだった。

忘れるわけがない。俚斗と一緒にデートをした時に一緒に見ていたものだ。


「な、なんでこれが……」

グルグルと考えていると、ふと、あの時に言っていた俚斗の言葉を思い出した。



『プレゼントは好きな人に送るものだよ』

「……っ」

涙がぽろぽろと雪だるまに落ちていく。


俚斗がどんな気持ちでこれを雪だるまの中に入れたのか、それを確かめるすべはない。


私が気づかなかったらどうするつもりだったのかな。

ううん、きっと俚斗は分かっていた。

私がまたここに来ることを。だってこの青い池は私たちが出逢った場所だから。