5月の美瑛はまた違う色をしていて、寂しそうだった木々は緑の葉が生えていた。

だけどやっぱり日が当たらない場所にはまだ雪が所々残っている。一年中溶けない万年雪もあるぐらいだから珍しいことじゃない。


そこから20分ほど揺られて、私はまたあの場所へと向かう。

滑って転んだ遊歩道。凍てつくような寒さは消えてしまったのに、この澄みきった空気だけは変わらない。

北風がパウダースノーを運んできて、それに導かれるように私は青い池へ。

池の氷は溶けて、青と緑のコントラストが広がっていた。

その光景を私はひとりで見つめる。


あれから私は、忙しい毎日を送る中で、気づけば俚斗のことばかりを探していた。

東京にいるはずもないのに似た人を見つけては振り返ってみたり、会えるように心の中で呼びかけてみたり。


でも、俚斗はこの池にもいなかった。

あの大きくて凛とした背中はもうどこにもない。