ねえ、俚斗は知ってる?


10歳ではじめて出逢った時と、17歳に二度目の再会した時。青い池で俚斗に声をかけられた時に、私は同じ鼓動がしたの。

ドクン、ドクンって小さいけれど、今まで聞いたことのない音。

俚斗がいつから特別だったのか、なんてその境界線はわからないけど……。


『自己紹介がまだだった。俺は吉沢俚斗。きみの名前は?』

私は、そのまっすぐで綺麗なビー玉みたいな瞳をしたきみに、ずっと恋をしていたんだよ。


「見て、小枝……!」

俚斗が突然、指をさした。その方角に視線を変えると、暗闇だった空の色が変わっていく。


それは、北海道で見られる『低緯度(ていいど)オーロラ』と言われる特徴。

上から紺色、紫色、ピンク色とグラデーションのように空の色が滲んでいて、そして、光輝く星屑が燃えるような赤色が放って、全体に散りばめられている。

あまりにも壮大な光景で、言葉を失った。

幻想的なんて表現じゃ足りないほど美しくて、まるで宇宙の中心にいるような感覚になる。


「すごいね、俚斗っ!」

興奮気味に隣を見ると、俚斗の頬に一筋の涙が流れた。


「……うん。すごい。こんな綺麗なもの初めて見た……」

俚斗の瞳がオーロラと同じ色をしていた。